病院薬剤師の給与のリアルは?
薬学生とお話する中で、病院を就職先の候補に考えていますとの声が少しずつ増えてきている気がします。正直、給与面がネックで、断念しますとの声もあります。
また、給与条件がよくわからない。結局どのくらいなのか?と悩む方もいるようです。
もし自分が、病院薬剤師になったら、このくらいの給与でこのくらいの手取りがあるとイメージしていただければと思い今回の記事を書きました。
是非、一度は病院薬剤師として働いてみたい方、就職・転職を考えている方の参考になればと思います。
↑病院薬剤師専門の転職サイトです。色々な病院があります。
薬学部を卒業すると、幅広い業種の中で進路を決めていくと思います。
製薬企業の開発・研究職、MRや、卸企業でのMS、公務員など免許を使用せずとも活躍する場所があるといえるでしょう。
また、薬剤師免許を使用する場合は、薬局(調剤・DS)や病院を考える学生が多いと思います。
色々な働き方がある中で、病院薬剤師を目指してみたいという方向けに、
今回は、国立病院勤務歴のある、やくし くろさんにお話を聞いてみました!
実際の給与状況
実は、国立系病院薬剤師は、ある程度、生涯自分が稼げる金額のイメージが掴みやすいです。
というのも、人事院より明確に、医療職俸給表というものが提示されています。
以下の条件での給与明細の一例です。(国立系病院 5年目時点)
- 休日:土日祝
- 日直・夜勤:1~2回/月
- 残業:20時間程度/月
以下は、支給される給与の条件でした(薬剤師歴:5年目)
- 医療職俸給表(二)
- 3級
- 18号
支給項目としては以下が主です。
- 医療職俸給表による固定給
- 地域手当
- 住居手当
- 通勤手当
- 超過勤務
- (他扶養手当)
基本給としては、医療職俸給表による固定給と、勤務先の地域によって地域手当が支給されます。
東京など、土地が高いような場所では、その比率が大きくなります。
調べると、勤務先の地域の地域手当の割合が記載されています。
同じ県での市によって変わってくるようですね。最近は、地域格差を減らそうなどの取り組みもあるようで、地域手当の割合は、今後は変わる可能性があります。
住居手当に関しては、6~7万円の賃貸に住むことによって最大額(28000円程度)を貰えることが多いです。支給額は、ちょくちょく数千円程度の範囲内で改定されますのであくまで目安です。
国立系であれば、働き方改革の影響で,残業をへらすように言われているため、30時間を超えないように業務を調節している施設もあるようです。
超過勤務に関しては、各病院によって、大きく変わると聞いていますので、実際に働いている人に聞くか、転職エージェントに事前に聞いておくことをおすすめします。
手取りは?
上の給与明細の実際の手取りを以下に示します。
大体、手取りは30万ぐらいです!
この月は、夜勤業務がなかったので、30万を切っていますが、大体30万前後でした。
残業は、月に20時間行っていました。全く残業がないと、25万程度と思われます。
小田舎に一人暮らしする分には、割と十分な給料が貰えています。
奨学金を返済+貯金している同僚もいたので、病院薬剤師に挑戦してみたい!と思いがあれば、是非、挑戦してもらいたいです。
昇給は何で決まっている?
完結にいうと『医療職俸給表(二)』に準じて、給与がきまります。
国家公務員員のうち、医療機関に勤務している薬剤師、栄養士、診療放射線技師等に適応されます。
以下表は、2019年時点での、医療職俸給表(二)の一部を示しています。
俸給 | 1級 | 2級 | 3級 | 4級 | 5級 | 6級 | 7級 | 8級 |
1号 | 151,000 | 188,400 | 223,600 | 249,600 | 281,000 | 327,000 | 371,100 | 437,200 |
2号 | 152,400 | 190,000 | 225,200 | 250,800 | 282,900 | 329,000 | 373,800 | 439,800 |
3号 | 153,800 | 191,600 | 226,800 | 252,000 | 285,000 | 331,200 | 376,400 | 442,300 |
4号 | 155,200 | 193,200 | 228,400 | 253,400 | 287,000 | 333,400 | 379,100 | 444,900 |
5号 | 156,400 | 194,700 | 229,800 | 254,600 | 289,100 | 335,200 | 381,500 | 447,300 |
6号 | 158,200 | 196,200 | 231,400 | 255,800 | 291,200 | 337,400 | 384,200 | 449,800 |
7号 | 159,900 | 197,800 | 232,900 | 257,000 | 293,100 | 339,400 | 386,800 | 452,300 |
8号 | 161,500 | 199,300 | 234,500 | 258,000 | 295,100 | 341,600 | 389,500 | 454,800 |
9号 | 163,100 | 200,900 | 235,600 | 259,300 | 297,100 | 343,400 | 391,600 | 457,200 |
10号 | 164,800 | 202,600 | 237,100 | 260,100 | 299,100 | 345,500 | 393,900 | 459,600 |
11号 | 166,400 | 204,200 | 238,500 | 261,100 | 301,100 | 347,600 | 396,100 | 462,200 |
12号 | 168,200 | 205,900 | 239,700 | 262,100 | 303,100 | 349,700 | 398,300 | 464,600 |
13号 | 169,700 | 207,300 | 241,300 | 263,400 | 305,100 | 351,200 | 400,400 | 467,100 |
14号 | 171,600 | 208,900 | 242,700 | 264,600 | 307,000 | 353,200 | 402,400 | 468,600 |
15号 | 173,600 | 210,500 | 243,900 | 266,200 | 309,100 | 355,100 | 404,400 | 469,900 |
16号 | 175,500 | 212,100 | 245,300 | 267,600 | 311,100 | 357,100 | 406,500 | 471,200 |
17号 | 177,400 | 213,500 | 246,100 | 269,100 | 313,100 | 358,900 | 408,300 | 472,400 |
18号 | 179,200 | 215,100 | 247,300 | 270,800 | 315,100 | 360,900 | 410,300 | 473,700 |
19号 | 181,000 | 216,800 | 248,500 | 272,500 | 317,200 | 362,900 | 412,200 | 475,000 |
※19号以降もしたに表は続きます。
号と級とは?
通常の薬剤師の業務では、2級から開始となります。
また、6年生の大学卒では、2級15号からの開始が一般的であり、上の表をみると、21万500円+地域手当が、基本給となると思われます。
1年ごと(1月1日)に査定があり、通常に仕事を行っていると、昇給する仕組みになっています。
A~Eの昇給区分が設定されていますが、薬剤師として、通常の業務を行っている場合は、昇給区分C(4号俸)が与えられます。
もちろん、大きな貢献をした場合はこの限りではないと思います。
医療職俸給表を見ていただくとわかりますが、級だけの昇給では、1年で、月収が5千円あがっていくような昇給スピードです。
級に関しては、基本的には、役職が上がったときに変更されます。
- 2級・・・薬剤師の職務
- 3級・・・困難な業務を行う薬剤師の職務
- 4級・・・主任薬剤師の職務
- 5級・・・薬局長
- 6級・・・中規模の施設の薬局長
- 7級・・・大規模の施設の薬局長
- 8級・・・特に規模の大きい薬局長
私の場合は、だいたい、非常勤職員→常勤職員になったあたりに、2級→3級になった気がします。
賞与は?
人事院より、その年の世の中の平均給与推移により、勧告されます。
現在(2021/11/24)では、年間で4.3ヶ月のようです。
(固定給+地域手当+扶養手当)×4.3ヶ月となりますので、年間で約120万円となります。
年2回に分割されますので、60万円/回となり、そこから税金が引かれますので、50万円弱といったところでしょうか。
個人の頑張りで賞与が上乗せされることはないです。良いも悪くも、みな同額程度は支給される環境です。
働いた分だけ、インセンティブがほしいという方は、民間企業をおすすめします。
年収
今回の条件で、年収を概算すると、
36万円×12ヶ月+60万円/回×2=552万円となります。
いかがだったでしょうか。
労働条件にもよると思いますが、働く場所によっては、年収500-600円は目指せる環境にあると思います!
もし、病院薬剤師に挑戦してみたい方は、国立系の病院も視野にいれて、参考にしていただけると幸いです。
個人的に感じたメリット・デメリット
メリット
- 安定感はあり
- 年間休日が多い
- 認定・専門薬剤師がいるため、知識が身につく環境あり
デメリット
- 世の中の動きに合わせて、減給されることが多い
- 昇進できる枠が限られているため、大きな昇給はなし
- 有給消化率が低い
私は、すでに転職済みですが、複数の転職サイトに登録して、日々、自分の次に活躍できそうな病院・薬局・企業を探していました。
すぐに転職しなくても、自分にどのくらの市場価値があるのか、なんとなく目を通しておくと、いざと言うときの労力が少なくなります。
転職サイトはいくつかありますが、それぞれのサイトで、紹介してくれる職場が異なったり、担当の転職エージェントさんが違いますので、複数登録しておくことをおすすめ致します。
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